おぞましい好奇心
『週刊文春』での騒動を通じて、小室哲哉さんが引退表明したというニュースがありましたね。
僕は小室さんの音楽を積極的に聞いていたわけではありませんでしたが、小さい時から10代前半にかけて、彼の音楽ばかりがあらゆる所で飛び交っていたのを聴いていました。一時代を作った彼がこういう形で舞台を降りるということに、なんとも言えない物悲しさを覚えます。
小室さんの引退表明と同じく、彼の妻・Keikoさんへの介護の実態が明るみになったことで、今回の報道元である文春には相当な批判がおきているみたいですね。また、今回の一件を機に、日に日にたくさんの議論が生まれています。
そもそも他人の不倫問題にこれほど仰々しく騒ぎ立てることそのものがみっともないと思ってしまうわけですが、それと合わせて今回の小室さんの引退騒動を見て、3つほど思うことがありました。
好奇心という「ゴキブリ」
僕の好きなアニメ、小説に『化物語』というものがあります。その中で、ヒロインである少女・戦場ヶ原ひたぎが、冷ややかにこんなセリフをいうんです。
好奇心というのは全くゴキブリみたいね。
人の触れられたくない秘密ばかりに、こぞって寄ってくる。鬱陶しくてたまらないわ。
小室さんの引退報道と同時期に、2つの炎上騒動がありました。
1つは、スキージャンプの宝・高梨沙羅さんが2000万円以上するベンツの高級車に乗っているというニュース。もう1つは、ダレノガレ明美さんがデジタル一眼レフのハイアマチュアモデルを買ったというブログをアップしたというものでした。
「よく価値も知らないくせに」
「年齢を考えてわきまえろ」
そんなコメントが、一気にネット上に噴出しました。
何という呆れた発言でしょうか。高梨沙羅さんはスキージャンプのワールドカップで、歴代最多勝の単独1位にもう少しで届くという、凄まじい成績を残している人です。賞金で何を買ったって、別にいいじゃないですか。
ベンツの高級車ということですから、雪道やオフロードにも強い車種なのかもしれない。トッププロということで、税金対策かもしれない。
ダレノガレさんだって、いきなりハイアマチュアモデルを買ったっていいじゃないですか。形から入るのだって大事です。モデルで美意識の高い彼女のことですから、すぐにカメラも使いこなすことでしょう。
2人の問題に関して何を思い浮かべた?と聞かれたら、強いていえば「おおすげえな。俺も頑張るぞ」くらいなもんです。
人の金の使い方にまで口を出す。そんな権利どこにあるんでしょう?
おぞましく度し難い好奇心をどう飼いならすか
もちろんこういうゴシップ系のネタって、好奇心をそそられるネタであるのは事実です。ぶっちゃけ、仲間内で話していて面白いネタでもあることは否定できません。
でも、こういうネタを身内のネットワークで盛り上がるだけに留めることができるか。あるいは色々な予想・妄想で楽しんでそれで「おしまい!」とできるか。あるいはそのネタを受け取ってもっと有意義な言動に昇華できるか。
そういうところに、その人の教養が表れてくるなあと強烈に思ったわけです。
人が何に金を使っているのか、誰と不倫をしているのか。
こう言葉にしたら、何ともどうでもいい話じゃありませんか?身内や家族など、自分の人生に影響がある人ならまだしも、相手は全くもって自分の人生に関係ありません。
最後に改めて言葉にしますが、不倫は許されない行為だと思います。された側には、一生の傷が残ることでしょう。それに引退表明についても、あれだけ追い詰められていた小室さんはすでにタイミングを見計らっていたのかもしれません。
それでも、周りに這いずり回る度し難い好奇心が、1人の人生を台無しにしたという事実に、虚しさと怒りを禁じ得ませんでした。
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